未払い賃金請求への対応について

1.まずは落ち着いて

 ある日、退職した元社員から内容証明郵便が届き、中味を見てみると「いついつまでに未払いの残業代〇〇〇万円を支払いなさい。さもなくば法的手段に訴えます」といった文書が届くことがあります。

 そんな時、「これはまずい、さっさと払おう」とか、電話して「いついつまでには金が用意できんから期日を延ばしてくれ」と言ってしまうなど、あわてることはせず、まずは落ち着いてください。

(1)内容を吟味して

 落ち着いたところで、その元社員が主張している内容をよく吟味してください。

まずは、請求者が元社員本人なのか?、弁護士なのか?

何年分の未払い賃金を請求しているのか?

 弁護士が付いている場合は、2年分しか請求してこないでしょうが、本人請求の場合は消滅時効のことは考えず、あるいは知らず、3年分とか5年分とか請求してくる場合もあります。

(2)会社として、どう対応するかを決める

 どう対応するか?といっても、何もしないという結論はダメです。

 まずは、元社員の賃金台帳や出勤簿、できれば家族の情報の分かるもの(履歴書など)もあったほうが良いです。会社の就業規則や賃金規定もきちんと出して、賃金を計算するための情報をそろえてください。

 そのうえで、賃金が規定通り支払われているのか改めて計算をしてください。

 計算方法ですが、改めて、きちんとした計算方法かどうか確認してください。

割増しの基礎から除いて良いものは決められています。日々の残業時間は1分まで入れないといけませんが、一月の合計は30分単位で四捨五入できます。不安な場合は専門家(たとえば社労士)に聞いてください。

 計算の結果、家族の情報などがそろったら、今後の対応を協議します。

基本は、訴訟にならないよう、話し合いで解決できるようにすることです。

2.元社員との話し合い

(1)対応は慎重に、時間をかけて

 計算した結果、「面倒だから払ってやれ」といって払うのは考え物です。

その情報は、別の退職者に伝わると思ってください。つまり、我も我もと未払い残業代を払ってくれと、同じように内容証明郵便が届くといった現象が起こります。その全員に支払う体力があればそれは其れで良いのですが、中小企業だと、資金繰りに影響し、倒産ともなりかねません。

ましてや、退職者を通じて、現職社員にも情報が伝わることも考えられます。

(2)請求者を増やさないために

  すぐに計算した額なり相手の要求額を支払うことはせず、ますは相手に会って話し合いを持ってください。

そして、こちらの言い分を伝えてください。ひとつひとつ慎重にことを進めてください。

第3者を入れて話し合う場を設けるのもいいかもしれません。都道府県の労働委員会や労働局などにあっせんの申し立てをするのも一つの手です。この場で話し合いが付けば、非公開ですから穏便にことは終わります。

相手があっせんに応じなければ労働審判など、裁判所のお世話になることもやむを得ないかもしれません。

とにかく、時間と手続きを踏んで、簡単にはお金は手に入らないんだということをわからせる必要があります。

3.今後のために

 労働時間の管理方法を見直しましょう。

特に残業については伺い簿などを作成し、残業命令があって初めて残業が認められる形式にしましょう。

変形労働時間制の導入など、残業を減らせる制度を考えましょう。

賃金制度も見直す必要があるかもしれません。

2018年 社労士制度50周年