人を育てる人事制度

人事制度導入セミナーの様子
人事制度導入セミナーの様子

1.人事制度ってなんだろう

 人事制度とはなんでしょうか?人の事?日本語はよくわかりません。英語ではHuman Resource Managementと言います。つまり、人という資源をいかに管理していくかということになろうと思います。もっと言えば、人をいかに育て、企業のために役立つ人材に育てていくか、その管理手法が人事制度なのです。

 

2.人事制度構築の目的

人事制度構築の目的は、「人が育ち、働く意欲が湧くしくみを作ること」です。社内の従業員を評価し、給与に差をつけることが目的ではありません。

社員に競争してもらいたいのは他社の社員です。競合他社の社員に勝る社員に育たなければ競合他社に勝てるわけがありません。人事制度を導入するのは、より良い社員に育ち、やる気を出し、各人の持っている能力を発揮してもらえるしくみをつくることです。決して社内での上下をつけるのが目的ではないのです。もちろん、評価制度も含んでいますが、給与を決めるだけのために評価を行なうのではありません。評価は「社員育成の見返り」なのです。

こうして人を育てる人事制度を導入し、有能で意欲に満ちた社員が増えることがその企業を存続、発展させる原動力ともなり、社員にとっても働きがいのある企業になるのではないでしょうか。

最近では「成果主義」、「業績主義」などが叫ばれ、一途に業績が要求されることが多いようですが、このような「脅しの人事制度」で人は能力を発揮できるでしょうか?目標達成しないと減給やリストラが待っている企業で自分の能力を試すような思い切った目標設定が出来るのでしょうか?

人事制度の本当の目的は、どのような能力を社員に期待し、どのような努力をして欲しいのかを明確に社員に知ってもらい、社員がその期待に応えてくれたかどうかを反省(評価)し、さらに社員の指導・育成を図ることです。

人事制度は、社員の育成と振り返りを行なうことによって、社員を育て、やる気をだしてもらうことが目的です。評価と育成はコインの裏と表の関係です。決して評価だけが単独で存在してはなりません。それは育てる気の全くない人事制度です。

 

3.人事制度の構成

人事制度の構成は、

(1)資格等級制度

(2)評価制度

(3)能力開発制度

(4)給与制度

の4つから成り立っています。「資格等級制度」は、社員をその能力に応じた資格等級に格付けする制度です。この制度の真の目的は「社員の能力向上に必要な能力」を具体的に明示し、社員が自分にはどのような能力が必要なのかを知ることが出来るようにすることです。つまり、社員の能力向上してゆくステップを段階として表現することになります。

 次は「評価制度」です。この制度では等級毎、部署毎に「期待される行動、つまり努力や成果」が具体的に明示されています。これらの期待された行動(コンピテンシー)をどれほど実行してくれたかを見返ることが目的です。「部下育成見返り制度」と読み直してもよいものです。

 次は「能力開発制度」です。社員の能力を向上させる機会、チャンスをこの制度で提供することが目的です。OJTによる能力向上、通信教育などの社外の教育利用、そして自分の個人目標、自己啓発などが設定され、フォローされるように仕組みをつくります。

 

 「給与制度」の目的は「許される範囲内で人件費を決める」ことです。等級と評価によって公正に金額を決めるしくみをつくります。

 

4.各制度のつながり

まず「資格等級制度」があります。この制度の目的は「社員の成長段階を決め、その能力を具体的に明示して社員の能力向上目標を示すこと」です。この等級決定が「能力の評価」です。能力(努力ではない)によって等級を決めるので評価していることとなります。

 次に「評価制度」があります。資格等級および所属する部署によって期待される努力・思考・行動などの内容が異なります。この部署別、等級別の努力度・行動などを具体的に示し、その結果を見ようとするのが評価制度の目的です。この結果は、次の「能力開発制度」につながっていきます。また、評価結果は昇格(等級が一段階上がること)や昇進(主任や係長などの役職に任命されること)の判定材料にもなりますし、給与制度とリンクして「能力給」の増加につながります。

 「能力開発制度」は評価の結果から見て、不足の能力を身につけたり、自己の目標を設定したりすることによってひとつ上の等級を目指すしくみです。

 「給与制度」は、「基本給」を「年齢給」と「能力給」の合計とし、等級による自社のモデル賃金ゾーンを決定します。そして、年齢、等級、評価に基づく昇給額の決定方法を決めます。この合計の昇給額が経営を圧迫しないように、人件費予算に基づく人件費となるようにパソコンソフトを用いて計算するしくみです。

 

 なお、役職手当もその企業に適した金額で決定します

 

2018年 社労士制度50周年