なぜ、日本の工業製品は故障しないのか・・・・

昨日は何カ月ぶりかに洗車をしました。

ボンネットを開けてエンジンルームを見ると、機械を見ているというより芸術品を見ているようにしばしうっとりします。

 

日本車は外国車に比べて圧倒的に故障が少ないと言われています。

というか、異常なまでに壊れないと言われています。

そして、これは車に限らずすべての工業製品について同じことが言えます。

 

そして、これは異常なことであり、これこそ日本の経済が発展しない大きな原因であると思っています。

 

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まず、日本人は完璧を求めます。

車が納車されて2年や3年でどこか故障すると烈火のごとく怒ります。

 

そしてSNSでどこそこの車はこんなところが壊れたとか、どこそこのディーラーの対応が悪かったなどを書きまくります。

自分の名前は伏せておいて・・・・他者をいたぶります。

 

必然的にメーカーは完璧なものを造ろうとします。

それ自体良いことですが、完ぺきではない物は造ろうとしません。

 

製造精度を上げてテストを繰り返して、まあ、これなら誰にも文句は言われないであろうというものしか作りません。

 

だから、日本の工業製品は壊れにくいのです。

品質が世界一です。

でも、最近は過剰品質という言葉が出てきました。

 

日本人には当然の品質でも、外国から見ると過剰品質と映るようです。

 

諸外国では・・・・工業製品は壊れるのが当たり前という価値観です。

 

壊れることを許容しているのです。

 

過剰でも品質は良い方が良いに決まっていると思ますが、それがなぜいけないのでしょうか?

 

この過剰品質な物しか作れないからこそ、日本は経済発展しないと思っています。

なぜ、これでは経済が発展しないのかというと・・・・

 

完璧なものしか造らないからです。

完璧なものしか世の中に出さないからです。

 

新しい技術、新しいサービスは出しません。

新しいものには必ずと言っていいほど不具合が起こります。

不具合があると国民から叩かれて潰されるからです。

 

なぜそうなるかというと、日本が失敗を許さない社会だからです。

 

工業製品の品質以外についてもそうです。

物やサービスについてだけではありません。

 

給与が安いから転職をする。

欧米では当たり前です。

 

でも日本だと・・・・

「転職してもっと給与が安くならないだろうか?

あるいはブラック企業だったりしないか?」などなど・・・・

失敗することを恐れて転職すらできません。

 

失敗すれば周りから「転職なんかするからだ。」

とか、「一つの会社で頑張れないのか」など・・・・転職することが悪のように言われます。

 

「もう会社勤めは面白くないので起業しよう」などと言うものなら周りから「脱サラなんてほとんどの人が失敗しているぞ、考え直せ」とか、「サラリーマンの方がなんぼか楽だぞ」とか言われて起業しようとする人の足を引っ張ります。

 

言い方を変えると、新しい生き方にチャレンジする人を潰そうとします。

 

そう・・・・・・日本人は失敗を多れすぎるのです。

 

ほとんどの人はご存じかと思いますが、成功している人は、それまでに多くの失敗を経験しているものです。

 

99の失敗を繰り返してやっと1つの成功があるというのが普通です。

 

ひとつの失敗を恐れていては成功することはゼロです。

 

でも、日本人はその一つの失敗を恐れ、失敗を許しません。

よって、成功することもありません。

 

科学部門のノーベル賞をとる日本人に、アメリカ在住の人がチラホラいるのはなぜですか?

 

ノーベル賞でなくても、革新的な技術や発見は多くの失敗の中からしか生まれません。

 

ひとつの失敗を許さない日本の社会の中で彼らは評価されないので、評価されるアメリカに移住するのは当然のように思います。

 

ウォークマン以降、日本ではライフスタイルを変えるような革新的な技術は生まれていません。

 

もしかすると、いろんな人たちが市場に投入しようと頑張っているのかもしれません。

 

でも、新しいものはすぐに不具合を起こすものです。

故障するものです。

 

失敗を許さない日本の社会はそれを受け入れません。

そんなものを出してしまったら、日本人はその企業や人を叩きのめします。

 

フェイスブックのようなライフスタイルを変えるようなサービスは日本からは出てきません。

 

スマートフォンを作っている日本のメーカーはあっても、二番煎じです。

 

世の中に一番に出すとインパクトがあってその後のシェアも取れるのですが、二番煎じはダメです。

 

一番に出だすことに大きな意味があります。

二位じゃダメなんです。

 

他の国の誰かが出したモノやサービスを二番煎じして、それの品質を過剰なまでに高めたとしても、そのモノやサービスを生み出した国や人には勝てません。

 

模倣品をいくら精巧に作ろうが、そこに大きな儲けはでません。

 

新しい物やサービスが出てこない国に経済発展なんて無いのです。

 

悲しいかな今の日本は、中国や台湾のように、既存の工業製品を作る工場として生きていくしかないようです。

 

そして、その根本原因は日本人の日本社会の「失敗を許さない」性質にあると思います。