臨検と是正勧告

1.臨検とは?

 臨検とは、労働基準監督署が、労働基準法や労働安全衛生法を企業に順守させるため、いつでも、事業場に立ち入り、必要書類を提出させたり、尋問を行ったりすることです。労働基準監督官に法が認めた権限で、事業主は応じる義務があります

 臨検には下記の種類があります。

(1)  定期監督・・・あらかじめ決められたスケージュールに従い行われる臨検で、事前通知があるのが普通です。突然来る場合もあります。

(2)  申告監督・・・労働者から労働基準監督署に申告があり、その申告内容を確かめるために行われる臨検で、事前通知があることが多いようですが、もちろん突然来る場合もあります。

(3)再監督・・・定期監督や申告監督で出した指導や是正勧告の改善状況を見るために行う臨検です。

 

 

2.どんなことを調査されるのか?

 (1)労働基準法関係

     労働者名簿

     出勤簿

     賃金台帳

     就業規則

     36協定

     確定保険料申告書、等

 (2)労働安全衛生法関係

     総括安全衛生管理者等の選任報告書

     健康診断個人票

     定期健康診断結果報告書(労働者数50人以上の事業場の場合)

 

     定期自主点検等の実施を証明する書類

 

 

3.是正勧告とは?

 

 是正勧告とは、臨検によって労働基準法や労働安全衛生法等の違反が見つかった場合、根拠となる法の条項、違反事項、是正の期日を決めて、是正するように勧告されること。

 是正に応じない場合、懲役または罰金の刑に処せられることもあります

 

 あるいは、明確に法違反とは言えない場合でも、その可能性が疑われる場合など、指導という方法がとられることもあります。

 

 どちらの場合も、期限までに是正をし、是正報告書を出す必要があります。

 

 

4.主な是正勧告の種類

 

 (1)労働条件を明示していない

  ☆労働条件明示義務違反となります。(労働基準法第15条第1項)

 

 (2)時間外労働・休日労働協定(36協定)がない

     協定の期限が過ぎてしまっている。

     協定で定めた延長時間を過ぎてしまっている。

☆労働基準法第32条(法定労働時間順守義務)

 

 (3)割増賃金を払っていない

     割増率・割増単価が適正でない

     除外賃金の範囲が不適切ある

☆労働基準法第37条第1項(時間外、休日および深夜の割増賃金に関するルール)

 

 (4)就業規則を作成していない(労働者数が常時10名以上の事業所の場合)

     労働者の過半数代表者の意見を聞いていない。

     就業規則を周知していない。

☆労働基準法第89条(就業規則の作成および届け出の義務)

  ☆労働基準法第106条(法令等の周知義務)

 

 (5)年単位の変形労働時間制における労使協定がない

  ①労使協定の締結および届け出がされていない。

  ☆労働基準法第32条(法定時間外労働順守義務)

  ☆労働基準法第32条の4(1年単位の変形労働時間制のルール)

 

 (6)賃金控除の労使協定がない

  ☆労働基準法第24条(賃金支払いに関するルール)

 

 (7)労働者名簿、賃金台帳を調製していない

     労働者名簿がない。

     賃金台帳について、労働日数、労働時間、時間外・休日・深夜労働時間数の法定記載事項の記載漏れがある。

☆労働基準法第107条(労働者名簿作成義務)

 

  ☆労働基準法第108条(賃金台帳作成義務)

 

 

2018年 社労士制度50周年